印刷用PDF |
降誕前第6主日礼拝 説教要約
日本基督教団 茅ケ崎堤伝道所
2024年11月17日
|
聖書 ルカによる福音書 19章1~10節
|
1 イエスはエリコに入り、町を通っておられた。
2 そこにザアカイという人がいた。この人は徴税人の頭で、金持ちであった。
3 イエスがどんな人か見ようとしたが、背が低かったので、
群衆に遮られて見ることができなかった。
4 それで、イエスを見るために、走って先回りし、いちじく桑の木に登った。
そこを通り過ぎようとしておられたからである。
5 イエスはその場所に来ると、上を見上げて言われた。
「ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい。」
6 ザアカイは急いで降りて来て、喜んでイエスを迎えた。
7 これを見た人たちは皆つぶやいた。
「あの人は罪深い男のところに行って宿をとった。」
8 しかし、ザアカイは立ち上がって、主に言った。
「主よ、わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。
また、だれかから何かだまし取っていたら、それを四倍にして返します。」
9 イエスは言われた。
「今日、救いがこの家を訪れた。この人もアブラハムの子なのだから。
10 人の子は、失われたものを捜して救うために来たのである。」
|
説教 「イエス様の優しいまなざし」 要約
三原 信惠 牧師
|
① 徴税人ザアカイ |
エリコの町にザアカイという人がいました。彼は人々からお金を集める仕事をしていました。ザアカイの住むユダヤ人の国はローマという国に支配されていて、ローマにお金を払わなければなりませんでした。しかもザアカイは、決まったお金よりたくさん集めて、その中からこっそり自分のものにしていました。だからザアカイは嫌われ者で、友だちはいませんでした。ある日のこと、イエス様が町にいらっしゃいました。神様の愛を教え、不思議な奇跡を行っていたイエス様のうわさを、ザアカイも聞いていました。ザアカイは、何とかしてイエス様を一目見ようと通りに出ます。でも大勢の人が前にいるので、背の低いザアカイは、イエス様の姿を見ることができません。そこで先回りして、木に登ってイエス様が通るのを待ちました。イエス様はたくさんの人に囲まれていたのに、ザアカイの登っている木の下に来ると、立ち止まって上を見上げておっしゃいました。「ザアカイ、急いで降りてきなさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい」。ザアカイはびっくり仰天!
|
② この人もアブラハムの子なのだから(9節)
|
イエス様はザアカイを愛しました。それは彼の中に価値を見いだしたからではなく、彼もアブラハムの子であると見られたからです。つきあって何の役にも立たない、かえって損になるような人、嫌な人、またどんな性格の人であっても、その中にアブラハムの子であるというものを見いだしていく所にイエス様が来られた意味があります。本来はアブラハムの子であるから、素晴らしい信仰生活をしていなければならないはずですが、そういうものを失ってしまっている人に、もう一度自分がアブラハムの子である事を分からせるために、イエス様は来られました。人間は信頼するということが一番大切だと思います。人から信頼されると私たちはそれを裏切らないように心がけます。信頼していくということは結局、勝利だと思いますが、同時に非常に恐ろしいことです。信頼を裏切っていく者をなお信頼して行く所にイエス様が生きられた道、語られた教えがあります。人を本当に立ち返らせていく力というものは、人の非を突く事ではなく、その人を信頼していくことです。
|
③ イエス様の優しいまなざし
|
みんなは、ザアカイのことを「罪深い男」なんて呼んで、誰も名前で呼びませんでした。でも、イエス様はその名前をきちんと呼んで下さり、しかもザアカイの家に泊まりたいとおっしゃたのです。ザアカイは、驚きとうれしさで大急ぎで木を降りて、イエス様を家にお連れしたのでした。イエス様のお話を聞いてザアカイは、これまで人々からお金をだまし取ってきたことを神様に謝りました。そしてこれからは悪い事をしないだけではなくて、自分のお金を貧しい人にあげますと約束しました。イエス様に会う前は、自分の事ばかり考えていたザアカイでした。でも、イエス様に出会って、「誰かのために何かしたい」とすっかり心が変えられました。何があったのでしょう。イエス様に「正しい生き方をしなさい!」と怒られたわけではありません。ザアカイは、イエス様が自分を大事にして下さることがわかったのです。悪い事ばかりしていたザアカイにイエス様は優しい目を向けて、名前を呼んで下さいました。その優しさがザアカイに伝わり、自分も誰かを大事にしたいと思うようになりました。新しい生き方が始まったのです。イエス様は、私たちが新しい人になることを喜んで下さいます。イエス様の優しいまなざしが、あなたがた一人ひとりにも注がれています。
|
|