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降誕前第9主日礼拝 説教要約
日本基督教団 茅ケ崎堤伝道所
2024年10月27日
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聖書 ルカによる福音書 10章38~42節
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38 一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え
入れた。
39 彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。
40 マルタは、いろいろのもてなしのため せわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。
「主よ、わたしの姉妹はわたしだけに もてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。
手伝ってくれるようにおっしゃってください。」
41 主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。
42 しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」
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説教 「主の言葉に聞き入る」 要約
三原 信惠 牧師
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① マルタは、マリアに腹を立てた |
イエスさまと弟子たちはエルサレムに向かって旅をしていました。一行はベタニア村について、マルタという女の人の家に行きました。マルタとマリアの兄弟のラザロは、イエスさまと仲良しでした。イエスさまはこのきょうだいをとても大切に思っていました。 マルタは、素晴らしい先生であり大好きなイエスさまが来てくれて、大喜びです。イエスさまと弟子たちのほこりまみれになった足を洗う水を急いで用意しました。そしてご馳走をつくって、イエスさまと弟子たちをもてなそうとしました。 そのうちマルタは、自分だけがもてなしをしているのに気がついて、こう思いました。「マリアはどこにいるのかしら、こんなに忙しいのに、わたしの手伝いもしないで……」。 マルタはマリアを探しに行きました。するとマリアがイエスさまの足元に座り込んで、その話を嬉しそうに聞いているではありませんか。そんなことは、その頃の女の人はしないことでした。マリアはマルタの大変さを少しも気に留めていない様子でした。マルタはマリアを見て腹を立てました。
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② 必要なことはただ一つだけである。(42節)
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イエスさまの所に行って、言いました。「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください」。今の今まで、イエスさまはマルタに「こちらに来なさい」と言われず、ご自分の所に来るまで待っておられました。イエスさまはマルタがようやく来たので嬉しかったことでしょう。マルタにも神の国のお話を聞いてもらいたかったからです。マルタが腹を立ててイエスさまにぶつけた言葉も、イエスさまはしっかりと受け止めて下さいました。それはイエスさまの言葉から分かります。まず「マルタ、マルタ」とマルタの名前を二度呼んで下さいました。これは「あなたは本当にわたしの大切な人ですよ」ということです。イエスさまは私たち一人ひとりの名を、心をこめて呼ばれます。イエスさまはマルタに言われました。「あなたの心は、沢山のことを何とかしようと心配でいっぱいになっている。だけどね、本当に必要なことは一つだよ。神さまのお話を聞いてくれないか。マリアのように」。
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③ 主の言葉に聞き入る
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当時のユダヤ人社会では、男性が親族以外の女性と一対一で接したり、女性が男性を家に迎え入れてもてなしたりすることは、普通のことではありませんでした。また当時のユダヤ人は、女性にはマリアのようにして神の言葉を聞く資格はないと考えていました。イエスさまは、「善いサマリア人のたとえを通してユダヤ人と異邦人の垣根を壊しただけでなく、ここでは、男性と女性の間にも差別がないことを示しておられます。誰もが分け隔てなく永遠の命へと招かれています。イエスさまは神の国の福音を語られ、マリアは主の教えを喜んで聞きました。マリアの姿を見て、イエスさまはお喜びになったことでしょう。 一方で、私たちはマルタの気持ちがよく分かります。「わたしだけに……させている」と不満をくすぶらせ、「なんとも思わないのですか。言ってやって下さいよ」と、自分の思いを身近な他者にぶつけることもあるからです。まさに、マルタは、「私」です。イエスさまがマルタの名を二度よばれたのは親しみの現れです。「あなたは多くのことに思い悩み、心を乱しいる」(41節)。イエスさまは、とがめたり、責めたりはしておられません。マルタが今、どんな状態なのかを、言い当てて下さったのです。イエスさまの言葉を素直に受け入れ、自分の状態を認めることができた時、本当に必要なただ一つのこと、主なる神の言葉を聞くことが始まっています。
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