隣人愛を実践することを勧めるヤコブは、「隣人を自分のように愛しなさい」という律法を「最も尊い律法」(8節)と捉えています。イエス様も、律法学者から、「あらゆる掟のうちで、どれが第一でしょうか」と問われた際、神を愛することと同じく、この律法を挙げて、「この二つに勝る掟は他にない」とおっしゃっています(マルコ12:28~31ほか)。そしてイエス様は、よきサマリア人のたとえ話を通して、「隣人になること」の大切さをお教えになっています(ルカ10:25~37)。人を分け隔てすることは、隣人愛を実践していないことになると、ヤコブは教えています。この章では具体的に、教会の中の二種類のメンバーが挙げられています。「金の指輪をはめた立派な身なりの人」と「汚らしい服装の貧しい人」(2節)です。「あなたがたは、貧しい人を辱めた」(6節)と書かれていますから、「もし差別するなら」という仮定の話ではなく、実際にヤコブの関わっている教会の中で、社会的地位や経済力の違いによって、差別が起こっていたということです。 ② 人を分け隔てすること、差別、えこひいき