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聖霊降臨節第16主日礼拝 説教「苦しみの中で出会う」
日本基督教団 茅ケ崎堤伝道所
2023年9月10日
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聖書 マルコによる福音書 8章34~35節
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「苦しみの中で出会う」 要約
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① イエス、死と復活を予告する |
マルコ福音書の中では、これまで弟子たちはイエス様のことをほとんど分かっていませんでした。湖で突風を沈めたり、湖の上を歩いたり、五千人以上の人たちを満腹にさせたという話が記されていますが、弟子たちはその出来事の意味が分からず、驚いたり恐れたりするだけです。今朝の箇所で漸くペトロが「あなたはメシアです」と言いますから、やっと弟子たちもイエス様が誰であるか分かったのか…と思いきや、そうでもなさそうです。この後イエス様は弟子たちとフィリポ・カイサリアへ行きます。そこでイエス様はご自分の十字架の死を初めて弟子たちに告げます。イエス様はエルサレムに到着する迄の間に三回、十字架の死の予告をしています(8:31、9:31、10:34)。イエス様は言いました。「わたしは罪によって滅んでいく人々を助けるために、十字架で死にます」。それを聞いた弟子たちは不安になり慌てます。イエス様はそんな弟子たちに、「わたしに従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」と語りました。 |
② 「すみっコ」たち
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「すみっコぐらし」ってお話、知っていますか? 部屋のすみが好きで、そこに暮らしているキャラクターのことを「すみっコ」と言います。「すみっコ」たちは最初から部屋のすみにいたわけではありません。「すみっコ」のひとり、「ねこ」は公園で他の兄弟ねこと一緒に捨てられていました。他のねこたちは「かわいい」と拾われていったけれど、自分だけ誰にも拾ってもらえませんでした。そんな自分が嫌で変わりたい、でも変われないと落ち込んでいた時、部屋のすみを見つけ、そこで暮らし始めます。「とかげ」は、本当は恐竜の生き残りですが、皆にどう思われるか怖くて、本当の自分を隠して、嘘をついて「とかげ」と名乗ります。嘘をつき続けることに苦しんでいた時、部屋のすみを見つけます。「すみっコ」たちは偶然たどりついた部屋のすみで、同じように辛い状況に苦しむ仲間たちと出会います。そしてお互いに慰め支えあって、一緒に生きています。私たちも、そばに誰かがいて、一緒に話を聞いてくれたら安心して元気が出ますよね。 |
③ 苦しみの中で出会う |
イエス様は苦しんでいる人、心が傷ついている人と食事をし、話をすることを大切にしました。苦しみや辛さの中でこそ、出会うことのできる喜びや安心があることを伝えたかったからです。ちょうど、「すみっコ」たちが辛い中にあったからこそ、安心できる「すみ」という場所や、一緒に苦しみを分かちあってくれる仲間たちと出会えたように。イエス様は私たちに「自分の十字架を背負って私に従いなさい」と話しました。十字架って、苦しいことです。イエス様が背負ったように、私たちも苦しいことを背負うなんて、嫌です。嫌だけど、私たちにも、辛いことや悲しいことが起こる時があります。イエス様は、辛いこと、苦しいこと、悲しいことの中にあるあなたを置き去りにはしません。「私に従いなさい」と、苦しい時も一緒にいて、道の先を進んで下さいます。あなたの笑顔が生まれる方にイエス様が導いて下さいます。私たちが辛い苦しい状況に身を置く時、苦しみの中にあるからこそ、受け取ることのできるイエスさまの温もりを感じることができます。十字架を負って苦しまれたイエス様は、この苦しみの先に喜びと希望が備えられていることを、復活を通して示して下さいました。私たちの先にもその喜びが用意されています。
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