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聖霊降臨節第11主日礼拝 説教「平和を実現するために」
日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
2022年8月14日
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マタイによる福音書 第5章9節
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「平和を実現するために」 要約
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① 平和を実現する者 |
平和を実現する人々は、無抵抗であり、平和の中に生きる人々というだけではなく、平和のために働き、争っている個人間や共同体間、および国家間においてさえ調和をもたらそうとする、骨の折れる仕事に打ち込む人々です。平和を実現する人々とは、「悪に負けないで、善をもって悪に勝つ」(ローマ12:21)人です。ヘブライ語のシャローム(平和)は、争いがないことではなく、共同体内に愛に満ちた調和と正義が存在することを意味します。パックス・ロマーナ(ローマの平和)を打ち立てたローマ軍は、軍事的な争いを終わらせることはできましたが、シャロームを打ち立てることはできませんでした。赦しなしに平和はありえません。マタイ福音書の冒頭近くで、天使が眠っているイエスの父親の耳に、イエスの存在の鍵となる言葉をささやきました。「『その名はインマヌエルと呼ばれる』。この名は、『神は我々と共におられる』という意味である」と。神は平和を実現する人と共にいます。神は憎しみのただ中に平和をつくる人を望んでおられます。 |
② マザーテレサに学ぶ |
1998年のノーベル平和賞は、マザーテレサでした。マザーはインドのカルカッタで、みなしご達を拾い、ハンセン病の人たちをコロニーに連れて行き、その顕著な働きとして、カルカッタの汚い街の街角にゴロゴロと寝転がっているだけでなく、死にかかっている人たちを「死を待つ人々の家」に連れて帰り、髪を櫛けずり、ウジのわいた体を洗いきよめ、名前を聞いてやって、死ぬまでの数時間、数日間、あるいは数週間をその人たちにとってはじめての人間らしい交わりをして、死なせてやったのです。すると、彼らは亡くなる時、一人一人がマザーの暖かい手と目の中で、“Thank
you!”と言って死ぬというのです。望まれないで生まれ、生まれてからも、早く死ねばいいと思われてきた彼らの最期、マザーは“It’s beautiful
”「平和(美しい)」と仰った。“It’s pitiful ”「不幸(可哀そうだ)」とは仰らなかったのです。私たち一人一人、神から与えられたこの人生を意味あるものにしたいと思います。マザーの生きた精神に学びたいと思います。 |
③ 平和を実現するために |
この度、教会員の温かいはからいにより、かねてから観たいと願っていた『91歳の介護士』をブルーレイで見ることができ、感謝です。この介護士さんは、元看護師で、5個所の病院に勤務し、36歳で看護婦長をなさった方です。看護師を天職と思って働いていた彼女が、介護士へと換ったのは、長い病院生活を終えていよいよ退院という一人の患者が「帰る所がない」と病院の三階から飛び降り自殺したことがきっかけで、1972年、訪問介護をはじめたのです。最期まで、その人らしく生を全うできるようにと在宅介護に全力投球してきまして、今91歳。3年前から認知症介護に心を尽くしています。彼女自身は、現在一人暮らし。家事一切を一人でこなしています。2年前、大腿骨骨折をした時、「辞めよう」と一時、迷ったそうですが、その時、介護される側の「痛み」を味わい、「痛み」は体の痛みもさることながら、心の「痛み」が大きい事を経験したので、今後は、心の痛みのわかる認知症介護士を目指すと決意し働いています。人生は思い通りにいかない事が度々あります。平和を実現するために私たちにできる事はそれが如何に苦しい茨の道であっても、もし神の導かれる道ならば、最善の実り多い人生となるでしょう!
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