主日礼拝 説教抄録  2021年度
    
印刷用PDF

 
    降誕節第10主日礼拝  説教「闇の中に愛が生まれる」

                日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
                        2022年2月27日

  ヨハネの手紙(一) 第2章9節~10節

「闇の中に愛が生まれる」 要約
① ヨハネの手紙(一)
 手紙(一)は差出人の名前も受取人の名前もなく、ただ「愛する者たち」と呼びかけています。表現や文体がヨハネ福音書と似ているので、ゼベダイの子使徒ヨハネが書いたとされていました。使徒ヨハネについては、紀元40年頃に殉教したという伝承と、90年頃まで生きたとがあって、前者を採るむきは使徒ヨハネでなく、長老ヨハネと言う人が書いた手紙とします。内容からすると、異端が緊急の問題となっていて、手紙の成立は紀元100年頃『反キリスト』と呼ばれている異端は、その頃アジアの教会をおびやかしたグノーシス主義でした。グノーシス主義は、霊が善、肉が悪という二元論で、キリストは悪の肉体をとりえないといってキリストの『受肉』を否定しました。霊のキリストは十字架以前にイエスをはなれ、人間イエスのみが十字架につけられたと考えました。霊のキリストと肉のイエスとを区別して考えていたのです。手紙(一)はこれらの異端に対する警告で、正しいキリスト理解と、異端に対する正しい信仰告白を勧めるものです。
② 神様の下で一つの家族
 今から11年前の3月11日、「東日本大震災」が襲いました。大きな揺れに続いて海から巨大な津波が何度も押し寄せました。更にその後、原子力発電所が爆発事故を起こし、放射性物質が遠くまで、人の住む町と自然界を汚しました。その地震からしばらくは、本当に沢山の町が、人が住めない場所となりました。明かりがなく、夜は真っ暗。生き物も少ないので音が何も聞こえません。人の住めない町が真っ暗になっただけではなく、皆の心まで暗い気持ちで覆われる出来事でした。そのような恐ろしい状況の中でも、世界中からお祈りと助けが届き、その後何年も支援活動は絶えませんでした。ある国の教会の人たちは、「私たちの兄弟姉妹たちが傷ついている!」と言って駆けつけてくれました。教会では本当の家族でない人同士も「兄弟姉妹」と呼び合いますが、それは神様の下では肌の色や考え方の違いを超えて一つにして頂けるからです。震災などで深く傷ついている人たちの事を聞くと、遥か遠くの人でもパッ!と愛が呼び覚まされるのです。
③ 闇の中に愛が生まれる
 東日本大震災の後にはこんなこともありました。普段から仲の悪い二つの国があります。政治の考え方が違い、歴史的にも喧嘩が絶えない国同士で、残念なことにクリスチャン同士もお互いの国の教会のことを良く思っていませんでした。「神さまの下で一つの家族」と受け入れることが難しかったのです。ところが、そんな人たちが東北の被災地で一緒になりました。それぞれの国からボランティアとして駆けつけたからです。当然かもしれませんが、どちらの国の人も神様の愛に生きる人でした。他人を憎む心は全くありません。被災者のために働き、心の底からお祈りするクリスチャンでした。私たちの世界にはいろいろな闇があります。国の違いや誤解で、人間の間には溝が生まれることがあります。でも本当に愛が必要なところには、神様が働きかけて下さいます。神様の愛は闇に輝く希望の光です。イエス様の光に照らされると、「私さえ良ければ」病や、「見えているつもり」症候群にかかりやすい自分に気付きます。イエス様を信じるということは、「私とあなた・あの人」の間に築き上げた垣根をイエス様と一緒に取り消していく作業でもあります。イエス様がご自分を犠牲にして示して下さった愛は隣人とも分かち合うものなのです。

〒253-0006 神奈川県茅ケ崎市堤19-6
TEL/FAX 0467-54-1300
日本キリスト教団 茅ケ崎堤伝道所
牧師 三原 信惠
 更新:2022.2.26 by nk

Copyright 2010 Chigasaki Tutumi Dendosho  All Rights Reserved