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受難節第5主日礼拝 説教「本当に偉いのは誰?」
日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
2021年3月21日
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マタイによる福音書 第20章20節~28節
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「本当に偉いのは誰?」 要約
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① 私たちにとって大事なこと |
ゼベダイの子ヤコブ、ヨハネ、その母がイエスの所に来て、イエスが天下をとられた時、その側近にして下さいと願った事が、20節~28節に書かれています。その事でイエスは憤慨しました。十字架を説いている時に、弟子たちが天下を支配する事だけを夢見ていたからです。彼らは自分の栄光・支配者になる事を願っていました。イエスは「あなたが方は自分が何を願っているのか分かっていない。この私が飲もうとしている杯を飲むことができるか」と問いました。「杯を飲む」とは、十字架につけられるという事です。私たちにとって大事なことは、どんな重要な地位につくかではなく、十字架を負って従うかどうかという事です。十字架を負って歩いているならば、その人が、名もないような人であったとしても、どんなに苦しい状態であろうと、又うだつが上がらない人生であろうとも、神の前には大いなる者であり、尊ばれるべき者として立つ事ができます。十字架を負っていないなら、その栄光・賞賛は、たかだか30年程のものなのです。 |
② 本当の花大臣は誰か |
ドイツのある村にハンスとブルーメという新婚夫婦がいました。ハンスは花づくりを仕事にする若者で、幸せでしたが、<村一番の花大臣になりたい>と夢見ていました。ある日、村の領主から「わしの城へ来て、花を咲かせてくれ」と頼まれ、ブルーメに「一年したら帰る」と言って城へ行き美しい花を咲かせました。領主は喜んで隣の領主、その隣の領主と次々に…。彼は花大臣と呼ばれ、高慢になって、自分が一番偉い人間のように思って、大切な事を忘れてしまい…気づくと30年の時が流れていました。その年は雪が降らず、春になっても雨が降らず、夏は太陽が照り続け、湖や池の水もなくなり、遂に彼は追い出され、忘れていたわが家へ帰りました。古木のそばに一輪の花が咲いていました。どこも土地はカラカラなのになぜ?夫の花が枯れていくのが悲しくて、毎日泣いていたブルーメさんの涙のせいでした。ブルーメさんの愛がハンスの心に花咲かせ、二人は「花も人も神が造られた!本当の花大臣は神様だ」と、神を賛美しました。 |
③ 本当に偉いのは誰? |
偉い人ってどういう人でしょう。お母さんがイエスの所に行った時、ヤコブとヨハネも一緒について行きました。イエスは二人に「このわたしが飲もうとしている杯を飲むことができるか」と聞きました。イエスが「この杯」と言っているのは、十字架にかかることでしたね。その同じ苦しみを一緒に味わうことができるかと聞いたのです。彼らは「できます」と元気に答えました。でも、それは「この杯」の意味がまだ分かっていなかったからです。彼らが思い描いていたのは、王様の家来として皆に偉そうにできる、気持ちのいい生活でした。偉い人というと、他の人たちに命令してあれこれさせる人のことだと、私たちは思っています。でも、ここでイエスが言っておられるのは、本当に偉い人とは、誰かのために一生懸命何かをする人だという事です。困っている人を見たら助けてあげる人、泣いている人がいたら、一緒にいて慰めてあげる人、そんな人こそ神様がいう偉い人です。そして一番偉いのは、自分の命まで惜しまず人のために差し出そうとする人です。イエス様は神様と私たちの間に立って、自分の命を差し出し、身をもって本当の偉さを示して下さいました。人に仕える生き方こそ、神様が望んでおられる生き方なのですね! |
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