主日礼拝 説教抄録  2020年度
    
印刷用PDF


     降誕節第5主日礼拝 説教「すべての人に恵みを!」

日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
2021年1月24日

 使徒言行録 14章16節~17節

「すべての人に恵みを!」 要約
① 聖書を知る
 「使徒言行録」は、新約聖書において福音書と手紙を結ぶ重要な働きをしています。いわば本書は<一粒の麦>が地に落ちて死ぬ事により、いかに<多くの実>を結ぶに至ったかの証言であり、教会の成立とその活動、そこに生き生きと働いた聖霊の書です。本書を「使徒行伝」と言った時代、別名を「聖霊行伝」と呼んだものです。「使徒行伝」という表題は、2世紀半ばにつけられたと考えられます。その理由の一つは、ルカは使徒を12人に限定しており、一般的に使徒という語が12使徒にパウロを加えて用いられるのは2世紀に入ってのちの事だからです。本書はパウロの伝記ではありません。ルカの主眼は、使徒たちを通して働いた聖霊の活動であり、復活の主がそのからだなる教会において如何に働かれたかということを伝える事にありました。ユダヤ教の一分派と考えられたキリスト教が、エルサレムから始まってローマに至たり、世界の宗教として進展して行く様子を描き出し、世の人々に伝えることが「使徒言行録」の目的なのです。
聖句を思いめぐらす
 伝道者パウロは、まだキリスト教が伝わっていない地域へと伝道しようと始めた旅の途中、リストラという町を訪れます。今朝はここで起こった出来事の後に語った彼の説教です。彼は不自由な足の人の足を癒します。その奇跡を見た町の人々が「神々が人間の姿をとって、私たちの所にお降りになった」と言って、パウロをギリシャの神「ヘルメス」と呼び、遂にはゼウスの神殿の祭司が、家の門の所まで雄牛数頭と花輪を運んで来て、群衆と一緒になってパウロとバルナバにいけにえを献げようとします。これは真の神様に対する罪だと知っているパウロは、群衆の中に飛び込んで行き、叫んで言います。「皆さん、なぜ、こんな事をするのですか。私たちもあなた方と同じ人間にすぎません。あなた方が、このような偶像を離れて、生ける神に立ち帰るように、私たちは福音を告げ知らせているのです。この神こそ、天と地と海と、そしてその中にあるすべてのものを造られた方です。神はすべての人に恵みを下さる方です」と。
③ すべての人に恵みを! 
 16~17節で言われた事は二つあります。パウロは、今までの歴史を見ると、あたかも各々の国や民族が勝手放題にしてきたように見えるけれども、それは神様が何もしておられないというわけではなく、自由にそうさせておられたからだと言っています。この天地を創造され、導いておられる主なる神は、次の17節にあるように「恵みを下さり、天からの雨を降らせて実りの季節を与え、食物を施して、あなた方の心を喜び(=生きる喜びや収穫の喜び)で満たして下さっているのです」と。私たちが毎日、こうして命をつないでいられるのは、何よりも神様がこの世界や自然を良い状態に保ち、導き、祝福を豊かに与えて下さっているからだという事を忘れないようにしようと言っています。世界や自然には、すべての人間が幸せに生きてほしいという神様の願いが表れているのです。この言葉は、主イエスが「(あなたがたの天の)父は、悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」(マタイ5:45)と言われている言葉とつながっています。神様はすべての人に恵みを与えて下さいます。神様は別な形で私たちの心を嬉しい気持ちでいっぱいにして下さる方です。神様が愛して下さる事に感謝しましょう。

〒253-0006 神奈川県茅ケ崎市堤19-6
TEL/FAX 0467-54-1300
日本キリスト教団 茅ケ崎堤伝道所
牧師 三原 信惠
 更新:2021.1.23 by nk

Copyright 2010 Chigasaki Tutumi Dendosho  All Rights Reserved