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聖霊降臨節第13主日礼拝 説教 「栄光に輝く」
日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
2019年9月1日
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詩編2篇1~12節 ルカによる福音書9章28~36節
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「栄光に輝く」 要約
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① 「山上の変貌」の物語 |
この出来事の記事は、共観福音書(マタイ・マルコ・ルカ)の全てにあります。原文は「彼の栄光」とだけ書いてあります。ルカによる福音書は、他の福音書と違って、この「山上の変貌」の物語を、夜の闇の中の光の物語として書いた所に特徴があります。28節「この話をしてから八日ほど立った時、イエスは、ペトロ、ヨハネ、およびヤコブを連れて、祈るために山に登られた」。主は屡、山に登って祈り、夜を祈りの時としていました。そうした夜の祈りの世界の出来事としたのです。まばゆいほど白く輝いた主イエスのお姿が、夜の闇の中に見えたのです。夜は、当時、神に逆らう力が最も活躍する時であるとされていました。山も又、神に背く力が住んでいる所と考えられていました。だから、夜、人が山に登ったら、他人は誰も側にいなかった。それ程迄に、夜、山に登る事は恐れられていました。主は、その夜の山に、ご自分の愛する三人の弟子を連れて登られ、そこで、弟子たちに深い夜を経験させました。又そこで、まばゆい光を見せたのです。 |
② ラヴェンナの壁画 |
イタリアのラヴェンナにサン・アポリナーレ・クラッセ教会があります。6世紀に建てられたバジリカ様式の大きな教会です。内部には、正面に半円形のドームがあり、その中央にモザイク画があります。上部に、手首が描かれ、手首の左下にモーセ、右下にエリヤが描かれ、真ん中に大きく金色の十字架が描かれています。十字架の二本の柱の交差した所に、キリストの顔がのぞいています。十字架のまわりには星が散りばめられ、十字架の下に、左に一匹、右にニ匹の羊が描かれています。「山上の変貌」の絵です。上に神の手がある。手の、指の、指し示しだけがある。このラヴェンナの壁画は、まるで十字架がご自分の手足になってしまったような、十字架の真ん中に、主イエスの顔だけが描かれています。主イエスの光輝くお姿はありません。確かに主イエスは、世の人の罪のために徹底的に叩かれながら、遂に黙り切って、口を開くことなく、まるで「小羊」のような、しもべの姿で殺されました。ラヴェンナの壁画はその事を示しているのです。 |
③ 栄光に輝く |
『讃美歌21』520番はハワード・アーノルド・ウォルター(明治39年アメリカ、コネチカット州ニュ-プリテン生れ)の作詞です。プリンストン大学とハートフォード神学校を卒業後、日本に来て、早稲田大学で1年間を過ごした23歳の夏、母にあてて詩を書きました。母は家族だけで読むのはもったいないとハーバーズ・マガジンに送り、掲載されると、牧師で音楽好きのジョセフ・Y・ピークが浮かんだ旋律を口笛で吹いた所、それが『メソジスト日曜学校讃美歌集』に収録され、アメリカでは今も大勢の人が愛唱しています。ハワードは、スコットランドとドイツとに遊学し、29歳でキリスト教青年会の指導者としてインドに赴きますが、数年後、健康を害して一時帰国。心臓の専門医から「あなたの命は、もって5年」と言われると「それだからこそ直ぐに仕事に帰る事が私には必要だ」と答えて、インドに戻り、35歳の若さで召天しました。最期の言葉は「主よ、私にも栄光を見せて頂き感謝!」でした。人生は鼻をつままれながらの死もあれば、若くて惜しまれながらの死もあります。人は皆、死ぬべき存在です。与えられた尊い、かけがえない一回限りの命を、主にあって栄光に輝く人生として頂きましょう!神を信じ共にご一緒致しましょう!
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