主日礼拝 説教抄録  2023年度
    
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     聖霊降臨節第9主日礼拝   説教「海が割れる」

                 日本基督教団 茅ケ崎堤伝道所
                     
 2023年7月23日


聖書  出エジプト記  第14章21~22節

「海が割れる」 要約
出エジプト記
 この書が大切にされているのは、キリスト教が、「エジプトの国で奴隷だった小さなイスラエル民族が、神の憐みによって脱出し、新しい土地が与えられて神の民として生きるようになった」ということを大事にしている宗教であるからです。聖書の研究によれば、「海の奇跡」とはもともと、エジプトを脱出するイスラエルの人々を追いかけてきたファラオの戦車と軍勢が海に投げ込まれた出来事の方を指していました(出エジプト記15章「海の歌」参照)。その際にイスラエルの人々が海の中の乾いた所を通り抜けるというのは、イスラエルの人々がヨルダン川を渡って西側へ行くときに、川の水が止まったので乾いた所を通って渡った(ヨシュア記3~5章)という出来事と重ね合わされ、海の奇跡の場面に二次的に繋がっていったようです。今朝の箇所は一見、モーセが杖を高く上げ、手を海に向かって差し伸べることで海を割ったり元の場所へ流れ返したりして、モーセ自身が「海の奇跡」を起こしているように見えますが、奇跡の主体は神様にあります。            

道が開ける

 ある人が大学生の時、大地震があり、同級生も先生も沢山死んでしまいました。その人は死んだ学生と同じような古い木造住宅の下宿に住んでいたのに生き残ったのです。その時、生まれて初めて「死ぬかも」と思ったそうです。そして自分の命はたまたま与えられていたのだと知り、同時に、急に死んでしまった同級生たちのことも考え、その後しばらく避難所でボランティアをしました。すると、地震で家も家族も失った女性たちが「命があっただけでも儲けものや」と、皆のお野菜を凄いスピードで切っていました。その時、その人の中で何かが変わりました。海が開けました。それ迄、なぜ自分だけが生き残ったのかとある種の罪悪感を抱えつつボランティアをしていたのです。その人は野菜を切るスピードは遅いけれど、ずっと避難所にいて運動不足の子供たちと元気に遊んであげられるボランティアをして、子供たちや女性たちに喜ばれたのです。神様から与えられた命を精一杯、輝かせてみようとする時に海は割れて、道は開けていくのです。
③ 海が割れる
 私たちの生活にも海が割れるような出来事は起こります。実際に、海が割れる程の派手な天変地異ではない事もありますが、もっとリアルで具体的な事です。例えば自分の人生に神様の存在が知らされた事です。又、大切な人々との出会いがあった事です。「水は彼らの右と左に壁となった」(29節)という言葉があります。これは私たちをこれ迄、はばみ、立ち塞がってきたものが、神様の力によって、私たちを守るものに変わったりする事の現れでもあるのではないでしょうか。神様は小さな民イスラエルを見捨てず、奇跡を起こし救い出して下さいました。神様がいつも共にいて下さる、苦難の時も共にいて下さる、イエス様が苦しい時も私と共にいて下さると確信して告白できることには理由があります。それは、はるか昔から実際に神様が不思議な力で小さな民、力なき奴隷たちを見捨てず、守り、救い出して下さった、という事実があるからです。どんな時でも神様は小さな私たちを見ていて、困った時に助けて下さるのだと、神様とイエス様とを信じることができた時に、すべての見方は変わります。そのお守りや導きの中で、大切な友人、家族、運命的な人や出来事と新たに出会い直した時に、道は海が割れるように開けていきます。

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日本キリスト教団  茅ケ崎堤伝道所
牧師 三原 信惠、伝道師 細井 宏一
 更新 : 2023. 7. 22  by mn

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