主日礼拝 説教抄録  2021年度
    
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      聖霊降臨節第7主日礼拝  説教「権威とは」

                日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
                       2021年7月4日

 マルコによる福音書 第1章21節 ~ 28節

「権威とは」 要約
① イエス様の教えと「心の病」
 イエス様は安息日に会堂で教えておられました。律法学者が律法と伝承を解釈するのに対して、その教えは「権威」ある言葉で、聞く人々の生き方や行動を変える力を持つものでした。ここに「汚れた霊・悪霊に取りつかれた男」が登場します。心の病になった人です。心の病は「関係病」と言えます。そううつ病、分裂病、神経症などは遺伝的要素もありますが、それだけが直接の原因とは言えません。今の精神医学では幼児期の母子関係が不十分だったと考えられています。だから「お前は生まれなかった方が良かった」と思って子どもに辛く当たると、後になって問題が生じやすくなります。また、しらけ、嫉妬、憂うつ等も広い意味での「関係病」です。どうしたら「関係病」から解放されるのでしょうか。心理学を学んで病気の原因が分かることは、回復への手助けにはなっても根本的な解決とはなりません。私を個人的に愛し、あるがまま受け入れて下さる方いる、という出会いによって「心の病」は癒されるのです。
人の心の痛みが分かるイエス様
 心の傷は誰かにそれをぶつけて、その人に傷を負わせないと癒されません。親から受けたおんねんとか、痛み、しこりを、人格的な誰かにぶつけてはじめて癒されます。この「汚れた霊に取りつかれた男」は、かつて神を礼拝し、家族や友人と一緒に過すことができていたのに、悪霊に取りつかれた今、そうした幸せな生活がすべて奪われました。周囲の人々も皆、悪霊を恐れて、誰も助けようとはしません。彼はイエス様に「ナザレのイエス、かまわないでくれ」と叫びました。でも本心は「どうか私を助けて下さい。孤独から救って下さい」という訴えの裏返しなのです。人の心の痛みが分かるイエス様は「黙れ。この人から出て行け」と、とても強い言葉を発しました。これは汚れた霊に取りつかれた男を一人の人間として立たせ、命を吹き込む神の子としての権限に満ちた言葉です。この言葉によって、男は救われました。そればかりか、周囲の人たちも、イエス様の権限を認め、認識を新たにすることができたのでした。
③ 権威とは
 辞書を引くと「人を従わせることのできる力」とあります。学校にも、会社にも、こわい先生や上司がいますよね。そういう先生や上司の言うことには、聞かなくちゃいけないような気がするでしょう。権威とはそんな雰囲気のことです。でも、イエス様はこわくないし、誰かにえらそうにして、むりやり言うことを聞かせたりしません。イエス様は「心の病を持つ男」と人格的な出会いをして下さいました。男の人が苦しんでいたのは、病気のせいだけではありません。周りの皆が見て見ぬふりする冷たい目がこの人の心にささって、おかしな行動を取らせていたのです。イエス様の厳しい言葉は、この人の心の中にあるさみしい気持、悲しい気持を追い出して、元気を取り戻させるためのものでした。同時に、これを聞いた人々は皆、自分たちが病気の人を苦しめたことに気づきました。だから、イエス様の言葉に心を打たれて「権威ある新しい教えだ」という感想を持ったのです。イエス様の権威は、間違ったことに対して本当に正しい意見をハッキリと語り、それを聞いた人々が心を入れ替えるようになる。そういう力のことです。イエス様の権威は私たちに一歩踏み出す勇気を下さいます。

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日本キリスト教団 茅ケ崎堤伝道所
牧師 三原 信惠
 更新:2021.7.3 by nk

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