主日礼拝 説教抄録  2020年度
    
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    聖霊降臨節第13主日礼拝 説教「イエスは良い羊飼い」

日本キリスト教団茅ケ崎堤伝道所
2020年8月23日

 ヨハネによる福音書10章14~18節

「イエスは良い羊飼い」 要約
① 良い羊飼いの特質
 『ヨハネ福音書』10章はイエスが「私は良い(本物の)羊飼いである」と自己弁護し、14~18節に≪良い羊飼いの特質≫を4つ挙げています。【1】良い羊飼いは、羊のためになら自分の(肉体的)命を捨てます。それ程までに、羊たちを愛します。【2】良い羊飼いは、その羊たち一匹一匹を全人格的に知り尽くしています。愛するとは知る事です。この事は、三位一体の人格関係を反映し、父と子と聖霊が、相互に理解し合っています。【3】良い羊飼い(イエス)は、今この囲の中にいる羊(私たち一人一人)を愛しています。同時に、広くあまねく世界の諸民族をも愛して、救いへと導きます。主イエスという一人の羊飼いによって、すべての民が一つの群れ(世界教会)となるためです。【4】良い羊飼いは、神の御心を実践します。主イエスの十字架と復活は、地上のすべての民が救いの祝福を受けるために計画された救済史ではないでしょうか。主イエスこそ、私たちの救い主です。コロナ禍の中にあって、孤独と不安の中を行く”私たちの救い主“なのです。
人間は羊よりもはるかに大切なものだ(マタイ12章12節)
 羊(Sheep)は単数も複数も同じです。羊は群れをなしており、一匹だけの羊は通常考えられません。考えられるのは病気であるか、迷っている羊です。人も一人で存在するのではなく、人の間で存在します。聖地を旅して驚くのは、いたる所に穴がある事です。ユダの山地に、ガリラヤの平地に、思いがけない所に穴があいていてハッとします。小さいものは人が数人立てる位、大きいのでは、小さくても内部は30~50平方メートルもあります。深さも人間の背位のものから3~4m、それ以上のものもあります。大きい穴は一人で落ちたらお手上げです。露で塗れていたり、枯れ木や枯れ草で覆われていたりすると思わぬ事故につながります。というわけで、まるで交通事故のように家畜が突然この穴に落ちる事も珍しくありませんでした。主は、「あなた方のうち、誰か羊を一匹持っていて、それが安息日に穴に落ちた場合、手で引き上げてやらない者がいるだろうか。人間は羊よりもはるかに大切なものだ」と言われました。
③ イエスは良い羊飼い  
 羊飼いという語は、牧畜が盛んな世界に生まれた聖書用語です。そこから生まれた教会用語に牧師(パスター)があります。パスターはパスケーレ(羊を飼う)というラテン語から生まれた言葉で、もともとは羊飼いという意味でした。では、牧師が羊飼い?いいえ、本物の羊飼いはイエスです。ベートーベンの第六交響曲をパストーラル・シンフォニー、田園交響曲と言います。パストーラルは「羊飼い」という言葉が形容詞になった語です。田園交響曲という言葉を想起しながら私たちがベートーベンの曲を聴くとしても、必ずしも田園の中に羊は出て来ません。だからと言って主が「私は羊飼い」と言われたのがどういう意味かよく分からないという事はないと思います。主イエスが、「私は良い羊飼い、あなたがたは私の羊なのだ」と言われるお言葉を聞きながら、私たちは新鮮な思いで、羊とは何か、羊飼いとはどういう意味かを聴き、理解できると思います。詩篇23篇の詩人は最後にこう歌っています。「命のある限り、恵みと慈しみはいつも私を追う。主の家に私は帰り、生涯そこに留まろう」。私たちはこの恵みの下に立ち、教会を宿り場とし、死んでのちの事は主に委ね、主の傍らに在る事が許される事を望みつつご一緒して参りましょう!

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日本キリスト教団 茅ケ崎堤伝道所
牧師 三原 信惠
 更新:2020.8.22 by nk

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